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2013年09月27日 (金) 11:39

総合的な難病対策の実現にむけてJPAが要望書を提出

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JPA事務局ニュース <No.104> 2013年9月26日
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  <発行> 一般社団法人 日本難病・疾病団体協議会(JPA)事務局
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総合的な難病対策の実現にむけてJPAが要望書を提出
 
 JPAは9月26日、9月に再開された第30回および第31回難病対策委員会での議論を受けて、「総合的な難病対策の実現に関する要望書」を田村厚生労働大臣に提出しました。
 以下にその全文を掲載します。
(水谷幸司)
 
2013年9月26日
厚生労働大臣 田村憲久様
一般社団法人日本難病・疾病団体協議会
代表理事 伊藤たてお
 
総合的な難病対策の実現に関する要望書
 
 新たな総合的な難病対策の実現に多くの難病患者とその家族は大きな期待をもって関心を寄せています。法制化も目指すとした新たな総合的な難病対策の論議に当たり、患者・家族から寄せられている以下の諸点について実現されるよう要望いたします。
 
1.新しい医療費助成制度について
(1)対象疾患
  1)対象とする疾患の考え方を早急に決定・公表し、その基準を満たす疾患は患者間の不公平感なく、すべてを対象疾患としてください。
  2)対象疾患を選定する第三者委員会は定期的に開催し、新たに解明された疾患をすみやかに対象とできるようにしてください。
    患者・家族の意見が反映できるようなしくみを検討してください。
  3)既存の対象疾患にあって、新基準に該当しない場合は、患者の状態像を考慮して一定の経過措置を設けるようにしてください。
 
(2)対象者の状態
  1)対象疾患でありながら、医療費助成の対象外とする患者については、引き続き研究の対象とすることを明示し、状態が変化した場合には医師が確認した日に遡ってすみやかに医療費助成が受けられるようにしてください。対象外とする患者の基準については、現在の軽快者基準を参考に、それ以上厳しいものにしないでください。
  2)対象疾患であって、所得要件で非該当とされた患者でも、患者の状態像を勘案して、認定を行えるしくみを検討してください。
  3)治療により日常生活に支障を及ぼさない状態を保っている場合であっても、重症度分類で症状が一定以上の患者は、対象から外さないでください。
  4)治療により症状が抑えられている場合、治療をやめれば重症化することや、日常生活および社会生活に支障が出ることが予測される患者の場合には、対象としてください。
  5)小児がんや先天性疾患などの後遺障害(晩期合併症)により対象疾患に罹患した場合であっても、基準に合えば除外せずに対象としてください。
 
(3)患者負担
   難病患者は、比較的稀な病気であるがゆえに、社会からの理解も不十分であり、その治療は多くの場合は命をつなぐ治療を一生涯続けなければなりません。こうした特性を考慮に入れて、せめて治療費の負担で患者が悩むことのない制度を構築することを望みます。
  1)他制度(高齢者、障害者等)の給付との均衡という点では、難病患者が社会的に置かれている実態を考慮すると、高齢者よりも、自立支援医療の「重度かつ継続」(費用が高額な治療を長期間にわたり継続しなければならない方の自己負担額の軽減を図る)の対象疾患患者と似た状態にあると考えられます。給付水準の参考にする上では、自立支援医療の「重度かつ継続」をその参考として、それを下回るものであるべきと考えます。
  2)所得階層別の応能負担とし、給付水準を決めるにあたっては難病患者の所得や生活にかかる費用負担の実態を十分に勘案して負担可能な金額としてください。
  3)自己負担額については、患者への社会的支援策が不十分であることを考慮に入れて、慎重に検討してください。負担により受診抑制など医療へのアクセスに影響が出ないよう配慮してください。
  4)所得の捕捉については、患者本人(子どもの場合は患者が加入する医療保険の被保険者)を原則としてください。患者の自立の観点から、障害者施策に合わせて、少なくとも親、兄弟の所得は除外してください。
  5)重症患者の例外規定(自己負担なし)の解除、入院時食事療養費一部負担、院外薬局での自己負担については、重症患者にかかる介護の負担や、長期入院患者への保険外負担や入院時にかかる諸経費など患者の生活実態を考慮に入れ、これ以上の負担が生じないようにしてください。
  6)新・臨床調査個人票は、データ登録への協力という性格から、文書料は公費負担の対象としてください。
  7)介護保険における医療系サービスについては、現行どおり患者負担分を医療費助成の対象としてください。医療系サービスは患者の必要に応じてこれまでどおり受けられるよう保障してください。
  8)複数の医療機関にかかる場合は、合算で医療費の助成をしてください。その場合、償還払いではなく現物給付となるようシステムを整備してください。
 
(4)医療費助成の対象とする治療の範囲
  1)対象とする治療の範囲には、対象疾患の治療に起因する合併症の治療も含むことを明示してください。
 
(5)認定のしくみ
  1)他制度のしくみと同様に、認定(決定)のしくみを透明化し、都道府県認定審査会の決定に不服の場合には異議申立ができるようにしてください。
  2)難病指定医および難病指定医療機関については、患者のアクセスを考慮して柔軟に指定できるようにしてください。
 
2.就労支援の充実
(1)難病患者を障害者の法定雇用率の対象に加えてください。
   それまでの間、難病患者を雇用した場合の助成金等の制度を拡充して、雇用主への助成金(発達障害者・難治性疾患患者雇用開発助成金)だけでなく、患者本人にも助成する制度も検討してください。
(2)職場定着のための支援として、患者をサポートするしくみを検討してください。
(3)福祉的就労を、難病患者の一般就労へのステップとして位置づけてください。
 
3.福祉サービスの充実
(1)障害者総合支援法における「難病等」の対象範囲は、障害者基本法の対象範囲をふまえて、疾患名だけで決めずに、「難病患者および長期慢性疾患により日常および社会生活に支障を来す者」をすべて対象としてください。
(2)当面、難病新法による医療費助成の対象が決定した時点で、すみやかに政令改正を行ってください。その際、「難病等」の「等」の範囲を広くとらえて、「難病」と同様に日常および社会生活に支障を来す可能性のある長期慢性疾患を対象範囲に加えてください。
(3)支給決定のしくみを見直し、難病等患者の特性から、状態の悪い時に合わせた評価判定のあり方を全面的に取り入れてください。
   当面、障害支援区分導入後も、難病による対象者については、二次判定(特記事項や医師意見書)等を十分活用できるように配慮してください。
(4)身体障害者と同等に、税金の障害者控除や公共交通運賃割引制度などが受けられるようにしてください。
 
4.研究の推進と治療法の開発
(1)研究成果が創薬や治療に結びつくよう、希少疾患に有効な新薬開発にむけての支援策を実施してください。
(2)研究や治療法の開発状況についての情報を患者にわかりやすく提供してください。
(3)研究班の再編により、個々の疾患研究が薄まることのないよう、必要な予算を確保してください。
 
5.小児慢性特定疾患対策の抜本的見直しを行い、研究、医療費助成、健全育成、福祉サービス等の支援策の充実等を行ってください。
 
6.小児慢性特定疾患児の成人期の支援策については、患者の実態や特性を検討し、対策を講じるための新たな疾患対策を創設してください。
 
7.高額療養費制度の自己負担を応能負担の原則に沿って引き下げてください。高額な治療についての新たな負担軽減策を検討してください。
 
8.その他
(1)医療費助成の対象から外れた軽症の患者にも、他の障害者と同様、各種割引制度や美術館などの割引制度などを利用するための「サービス利用証明書」(仮称)を発行してください。
 
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(NPO)日本障害者センターが『患者・障害者の福祉医療』2013年版を発行-重度心身障害者(児)医療費助成制度全国実施状況報告書-
 
 (NPO)日本障害者センターは、『患者・障害者の福祉医療』2013年版を発行しました。2008年版を出して以来、5年ぶりの発行です。
 この冊子は、副題にもあるように、全都道府県の自治体で実施されている重度心身障害者(児)医療費助成制度について、全国47都道府県20政令市41中核市の制度について独自の調査を行い、その結果を一覧表とともに分析結果をまとめるとともに、複雑な日本の医療制度のしくみと障害者の医療についての解説を1冊にまとめたものです。これまで、2003年、2005年、2008年と数年ごとに調査報告として発行してきたものの第4弾。国の制度改正に伴って各地の制度がどのように変わってきたのかを一望できる点でも、他に類をみない一冊です。
 巻末には、関連資料として、都道府県ごとのこども(乳幼児)医療費助成制度、高齢者(老人)医療費助成制度、特定疾患治療研究事業や小児慢性特定疾患治療研究事業の上乗せ制度の一覧、自立支援医療の実施要綱なども付いています。
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 申込みはJPA事務局 jpa@ia2.itkeeper.ne.jp またはFAX 03-6280-7735まで。
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