取材レポート並びに学会レポート01 Report 01

下記研修会の後行われた川崎懇親会の模様

レポート抜粋
川崎懇親会のご報告
線維筋痛症(FMS)の研修会の後、友の会会員だけ残り、そのまま聖マリアンナ医科大学・難病治療研究センター4階のセミナー室をお借りして、約20名にて「友の会・川崎懇親会」が行われました。

主に会員の皆さんのご質問に事務局代表の橋本が回答するという形でした。そのあと、個人同士で和気萇萇と懇談が行われ、住所交換なども活発にされていました。質問の内容に関しては、主に、以下のようなものがありました。

  • 病院のどの科にかかったらよいか
  • 特効薬について
  • 運動療法について
  • 行政に対する会の行動計画について
  • 会員にできる運動について

詳細は、会報秋号にてご報告いたします

第51回聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター研修会のご報告

レポート抜粋
第51回聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター
研修会のご報告
挨拶:聖マリアンナ医科大学・難病治療研究センター星恵子先生
講演:山梨県立看護大学短期大学部人間・健康科学 松本美富士先生
6月11日に聖マリアンナ医科大学の第51回難病治療研究センター研修会が開かれました。今回のテーマは「線維筋痛症」(英語ではfibromyalgiasyndromeと言いますので、以下FMSと省略です。講演は山梨県立看護大学短期大学部人間・健康科学の松本美富士先生が、スライドを使ってわかりやすく「FMS―理解されない慢性疼痛―」とはどんな病気かご説明下さいました。
FMS患者のリウマチ科への外来受診数は年々右肩上がりで上昇しているそうです。日本におけるFMS患者の実態については日本リウマチ財団が調査を始めますが、欧米では比較的頻度の高いリウマチ性疾患で、米国の例ではリウマチ外来受診者の15%、一般人口の2~5%がFMS患者であるといわれています。かなり高い数字です。そのうちの75%が女性、よく発症する年齢は40~50歳代です。日本も欧米とさほど差がないのではないかと考えられています。
日本でのFMSの問題点は、一般に医療従事者の間でのFMSの認識が低いため、専門的医療による管理を受けることが難しく、患者はあらゆる科を受診しては他の疾患とみなされ、ドクターショッピング(病院を転々とすること)を繰り返してしまうことが挙げられます。
FMSの主たる症状は、全身の慢性疼痛です。特徴としては朝、午前中に悪化することが多く、疼痛の方向は体軸へ向かって集中することがあります。日によって変動が激しく、体調がよいときには活動することも可能です。疼痛は身体の広範な部位に存在しますが、痛む場所は移動します。痛みがひどくなると、着衣も困難になるなどの著しいQOL(生活の質)の低下が起こります。
随伴症状は列挙するときりがないのですが、身体症状としては微熱、倦怠感、疲労感、頭痛、手指のこわばり、関節痛、過敏性胃腸症状、動悸、生理不順などがあります。神経症状としては四肢の感覚障害、手指のふるえ、眩暈、眼振、耳鳴りなど、精神症状としては、抑うつ状態、不安感、睡眠障害、集中力の低下、注意力の低下などが挙げられます。データによると人種差、民族差などはないようです。

FMSの診断の要点として他に考えておくべきことは、特異な臨床症状としてどのようなものがあるか把握すること、心理学的な背景はあるとしても精神医学的な問題はないことの検討、内科的な臨床検査をして異常が認められないことなどが挙げられます。
FMSと診断を受けた患者さんたちは、今後どのようなことを望んでいらっしゃるでしょうか。とにかくこの全身の痛みを取り除いてくれる劇的な新薬の開発でしょうか。触診検査以外の一般的な通常の検査でFMSが診断できるようになることでしょうか。ゆくゆくは行政への働きかけによってFMSが難治性疾患として認知されることを望んでいらっしゃる方もおられるでしょう。そのために私たちに今出来ることは何でしょう。まずは患者である私たち自身がFMSはどのような病気であるかを理解していくことがとても重要なのではないでしょうか。そうでないと自分が今かかっている病気を他人に説明することができません。社会的認知を広げていく始めの一歩が自分の病気について知るということになるでしょう。その意味でもこうした研修会に患者の皆さんご自身が参加していくことはとてもよい機会になったと思います。残念ながらこの研修会に参加できなかった皆様も、この記事をお読みになって少しでもFMSに対する更なる理解が深まれば幸いです。今回得た知識を周囲の人々に知ってもらうところから少しずつでも社会的認知の輪が広がっていくことを心から望みつつ、この研修会の報告を終わらせていただきます。

原文:会員「Y」

2003年5月27日 平成15年度リウマチ月間全国大会に参加

レポートはこちらです。
平成15年度リウマチ月間全国大会 
参加レポート
5月27日、日本橋三越劇場において、リウマチ月間全国大会が開かれました。リウマチ財団の方からお知らせをいただき、プログラムの内容から、私たち友の会の参考になるものと思い、参加して参りました。
式典では、厚生労働大臣、日本医師会長、日本リウマチ学会理事長の祝辞を始め、功労者の授賞式がありました。
リウマチは以前は治らない病気として恐れられていましたが、今では早期発見、早期治療が行えるようになり、治療薬も進歩してきました。特にこの夏以降には新薬が日本でも認可される見通しで、患者にとっては期待されるものです。
基調講演をされた山本純己先生は、薬物療法の進歩、人工関節手術の普及、患者のQOL(生活の質)の向上について、最新の現状をお話になりました。
住田孝之先生は「リウマチ薬について」の演題で、これから認可される3つの新薬について、薬剤の効果、安全性、使用上の注意点を紹介されました。
村澤章先生は「介護保険」について、導入から3年経った介護保険制度の利用状況を分析されました。医療と介護がともに機能しなければなりません。
安部敏彦先生は「リハビリテーション」について、予防、回復、維持の観点から、患者を含め周りの人々の理解と協力が大切であると話されました。
日本リウマチ友の会の創設者で現在名誉理事長の島田廣子先生は、若年性リウマチを発症して以来長年、闘病と友の会の育成に努められ、常に目標に挑戦していくバイタリティー溢れるお話でした。
また公演の合間には藤城茂生氏によって、島田先生、日本リウマチ財団専務理事の田中治彦氏、塩川優一順天堂大学名誉教授、ほか関係の方々にご紹介を頂きました。
恐ろしい病気だったリウマチが制圧される時は遠くないかもしれません。それには研究者、医療者のたゆまぬ努力と、患者の闘病への取り組みの、長い歴史がありました。線維筋痛症の研究は始まったばかりですが、関係者の方々の理解を求め、一人でも多くの患者を救いたいという友の会の活動は一層重要なものとなるでしょう。皆様のご参加、ご協力を願ってやみません。

2003年3月17日 千葉県衛生研究所所長 天野恵子先生に取材

取材レポート
病気によっては男女の罹患率の差異が大きいもの、男性に特有のもの、女性に特有のものがあります。特に女性の場合、更年期障害やリウマチや、膠原病のひとつである全身性エリテマトーデスなどが挙げられます。
近年、更年期障害と簡単に片付けてしまうのではなく、様々な症状や個人差を考えていいこうと言う方向になっています。東京都や千葉県では女性専門の外来を設け、様々な症状に対応できるような試みがなされています。特に千葉県は「女性外来」の先進県と言われています。男性にも最近は更年期障害があると言われており、「男性外来」があっても良いかもしれません。
線維筋痛症も女性の方が圧倒的に多い病気です。天野先生は「女性外来」の外来患者さんの診療を通して線維筋痛症の問題に取り組んでおられます。先生のお話では、外来に訪れる患者さんの中には、線維筋痛症患者も結構多いということです。
診断基準には、広範囲な疼痛が3ヶ月以上続くこと、とありますが、場合によってはもっと早く診断できることもあり、治療を早く始めたほうが結果もよくなることは知られています。先生はSSRI(セロトニン再取込阻害薬)が効くケースもあると話されておられます。
この件に関するご意見、ご感想がございましたら、友の会宛てメール、または掲示板にてお知らせくださいませ。

最後になりますが、貴重なお時間を割いていただき、お話を聞かせてくださいました天野先生にお礼を申し上げたいと思います。

2003年3月12日 聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長
西岡久寿樹先生にお話を伺いました。 

聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長 西岡久寿樹先生 取材レポート

3月13日、東京で「線維筋痛症研究会」が発足しました。代表世話人の聖マリアンナ医科大学難病治療研究センター長 西岡久寿樹先生には、研究会に先立ってお話をうかがうことが出来ました。
「患者はいくつもの病院を回っても、何も分からず、何をやってもだめという訳の分からない痛みで、パニックになっていく。診断さえつけば半数の患者はほっとし、精神的に楽になれる。ひいては、痛みの改善にも繋がり、治療効果もよくなる。」とのことです。

まずは我国での実態調査(疫学調査)を行い、患者の数や実態を把握すること、リウマチ専門医、整形外科、心療内科それぞれの立場から線維筋痛症の概念を普及させ、治療法を確立することが研究会の趣旨であるそうです。

線維筋痛症を診断できる医師が、全国規模で組織できるよう、啓発から始めたいということです。医師の理解と治療薬の開発は、どんなにか多くの患者の助けになることでしょう。

新薬についても、西岡先生が発表されるケースでは大変良く効いたとのことで、これから治験も行われます。痛みの中枢神経と患部とをブロックする薬剤で、多くの患者さんにとっては期待されるものです。こういった薬の効果があるという症例も発表されました。また、薬以外でも、音楽療法なども行われており、これらのことも順次発表されていくと思います。

西岡先生には、お忙しい中貴重なお時間を割いてお話いただき、ありがとうございました。春の訪れとともに、友の会にとっても明るい話題となりました。

2002年11月16日 篠ノ井総合病院 浦野房三先生に取材

篠ノ井病院の浦野房三先生 取材レポート
11月16日、篠ノ井病院の浦野先生にお会いして、お話をうかがうことができました。先生は独自にホームページを開設され、整形外科医、リウマチ医として詳しい解説をされています。
当日のお話は多岐に渡りましたが、ここでは線維筋痛症(FMS)に絞って分かりやすくレポートしたいと思います。
米国での線維筋痛症の患者数は、以前から1~2%と言われていました。研究者によっては2%という数字が出ていますので、かなりの頻度です。日本や韓国ではそれよりも上回るのではないかと言われています。発病率はリウマチの4~5倍です。日本人の肩こりは童謡に歌われるくらい有名ですが、これも線維筋痛症の予備軍と考えられるかもしれないと先生はおっしゃっています。

先生が診察された線維筋痛症の患者総数は100名をはるかに超えているそうです。もし診断できる医師が十分に増えれば、患者数は100万人単位となります。線維筋痛症はリウマチ医が主に担当することになりますが、リウマチ科の参考書に記載されるようになったのはつい最近の1998~9年頃からですが、試験に出るわけではないので、必ずしもすべてのリウマチ科医が診断できるとは限りません。
もっとも、線維筋痛症が病名として認められないのは、そのような単純な問題だけではないそうです。

診断に関して言えば、線維筋痛症は慢性疲労症候群(CFS)、シェーグレン症候群(SjS)、全身性エリテマトーデス(SLE)、リウマチなどと合併し易いことはよく知られています。鑑別するのが難しい例もありますが、できれば詳しい検査の上、他の病気でないことが確認されたうえで線維筋痛症と診断されることが望ましいということです。血清反応陰性脊椎関節炎(SNSA)も鑑別しにくい病気だそうです。

先生の臨床経験では、線維筋痛症はリウマチより回復し易いということです。半年から一年くらいである程度回復し、薬を服用しながらでも社会復帰できている例があるそうです。ただ、治療の初めは、患者自身もなかなか受け入れることができず、周囲の理解を得るのも時間がかかります。
患者自身の受け止め方、精神状態の在り方、周囲の理解、これらは治療に大きな影響を持つようです。強い痛みがある場合、だれでもパニックに陥り絶望を感じるものですが、このような状態は痛みを余計悪くします。精神科医も慢性疼痛に理解をもって、このような患者をサポートしてくれるようになることが望ましいようです。

以上、簡単にレポートしましたが、先生のお話から、線維筋痛症は決して難治性疾患ではなく、むしろ適切に診断され、適切な治療を受ければ、社会復帰も早く、怖い病気ではないことが分かりました。このことは、大変心強いことです。
 最後になりますが、先生のお話で以下のことが特に印象に残りました。「今までは、医療側から病気を診断しており、患者は受身だった。ところが、線維筋痛症に関しては患者側のほうが勉強をし、世の中に浸透させようという動きになっている。これは、まったく新しい動きですね。」

今回は、時間の関係もあり、簡単なご説明にとどまりましたが、またお時間をいただいてさらに詳しく勉強させていただき、皆様にレポートしたいと思います。詳細なレポートは、機関紙にてお知らせする予定です。

この件に関するご意見、ご感想がございましたら、友の会宛てメール、または掲示板にてお知らせくださいませ。
最後になりますが、貴重なお時間を割いていただき、お話を聞かせてくださいました浦野先生にお礼を申し上げたいと思います。