線維筋痛症友の会ニュース-活動報告、イベントご案内 News and guide

2014年03月26日 (水) 13:35

声明文を発表しました

厚生労働大臣 田村憲久 様
厚生労働省 疾病対策課課長 田原克志 様
 
病名で、私たちを区切らないでください。
―「難病法案」に対する最大の懸念について―
 
これは、すべての人にとって重大な問題です。
 
日本の「難病対策」が大きく変わろうとしているなか、私たちも今回の改革案の動向を大きな期待をもって見守ってきました。特に今国会では、新しい「難病法案」(難病の患者に対する医療等に関する法律)と児童福祉法の改正案が提出されます。法的根拠のしっかりした、持続可能な難病・長期慢性疾患対策を構築するためには、必要な一歩だという一定の評価はできますし、対象疾患が大きく拡大される見込みであるために、新たな法案成立に期待を持っている患者は多いでしょう。
 
しかし、見逃されがちな重大な問題が、この新しい法案では未解決のままです。今回の「難病法案」でも、定められた基準にのっとり、対象者を限定していくやり方が、そのまま残されているのです。
2011年7月改正の障害者基本法では、病名による区別なく、すべての難病・長期慢性疾患患者が「障害者」に含まれることになりました。2014年1月20日に批准された障害者の権利に関する条約においても、障害(疾病による社会的障壁)のない人と、等しく基本的人権が保障され、共生する社会を実現することが確認されています。
しかし、今回の難病法案では、「難病」を規定する四要件のなかに、「希少性」概念・・・(おおむね人口の0.1%以下と省令で定める、とある)が導入されています。原案のまま法律が成立してしまえば、ほかの3つの要件を満たしていても、患者数の多い疾患は、最初から「指定難病」からは除外されてしまうのです。
 
例えば、線維筋痛症、筋痛性脳脊髄炎(慢性疲労症候群)などの、生活上の困難が著しくても患者数の多い疾患(全身に激しい痛みがはしる、身動きが取れないほどの倦怠感が持続するなどの多彩な症状がある)、I型糖尿病など、明らかな内部機能の障害があり、命を維持するために必要な医療があるにかかわらず、医療費の自己負担を余儀なくされている疾患。また、「診断基準」を満たさないがために、いまだに病名がつかず、一定の基準を満たさないから支援が受けられない患者・・・。
今の「難病法案」では、このような患者たちには、自分達が生きる希望を持てるような具体案は何ひとつ打ち出されていないのです。
 
支援の対象者を決めるために、「病名」「患者数」など、個々人の患者の生活上の困難とは、本来関係ない基準で対象者が決まっていく限り、いつまでも、対象とならず取り残される命がうまれてしまうのです。
「中には病気になる人もいる」ことは、生物としての多様性を持つ人類にとっての必然でしょう。しかし、私たち病者が抱えるこの問題は、なかなか社会全体のものとしてとらえられていません。
科学、医療がいかに進歩しても、経済的な理由で治療をあきらめる人たちは、懸念されるTPPや混合医療の問題の行方を待たずして、今すでに多くいます。
 
今回の「難病法案」の制定が、すべての人が、安心して医療を受けられる体制を整える一歩になって欲しいと願っています。障害・疾病のある人が、適切な医療を受けつつ、障害・疾病のない人と等しく基本的人権が保障されて、共に生命を謳歌できる社会の実現に向けて、どうか知恵とまなざしを向けてください。
新しい患者の希望となるべき「難病法案」が、熟議のもとに制定され、今国会で批准された障害者の権利に関する条約および、前述の障害者基本法をはじめとする関連法規の趣旨を遵守したものになるよう、強く要望します。
 
私たちを・・・この社会に生きる全ての命を、病名で区切らないでください。
 
2014年3月25日
 
呼びかけ人・団体代表(連絡先)
NPO法人線維筋痛症友の会
〒233-0012 横浜市港南区上永谷2-12-11-102
(理事長 橋本 裕子)
 
(呼びかけ人一覧)※3月11日現在・順不同
個人 
青木 志帆(弁護士) 浅枝 まり子(フリーアナウンサー) 東 奈央(弁護士)
熊谷 晋一郎(小児科医) 佐藤 久夫(日本社会事業大学特任教授)
白井 誠一朗(社会福祉士) 丹波 博紀(大学講師) 長岡 健太郎(弁護士)
松波 めぐみ(大阪市立大学他非常勤講師)
団体
きょうされん大阪支部
障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現を目指す大阪の会
障害者自立支援法訴訟の基本合意の完全実現を目指す和歌山の会
タニマーによる制度の谷間をなくす会
難病をもつ人の地域自立生活を確立する会
ポリオの会
★(NPO法人) 線維筋痛症友の会 
 
★呼びかけ人・団体代表/事務局団体